水道が熱く感じる数え日の クローゼットにしまわない服
太陽の存在しない部屋がいい 音もにおいも光もいらない
海中で手放してしまった少年の 手の感覚を覚えているか
被覆船の銅板を剥ぐため潜る ゴボゴボと息を泡へと変えて
逃げ切れた試しなどなく 今日もまた蜜の吸われた花の介抱
ダウナーな破壊衝動 石鹸がまくった腕の深くまで来る
だれだって悪者なのだと東京の 橙色の窓のいくつか
繰り返す怠惰を君は撫でながら ささやいてくれたように悲しい
大学の閉ざされたあとラウンジの 菓子パン自販機だけが光源
自己愛にまみれちまって 大好きな僕を街へと放ちたくない
比較され選ばれなかった猛獣の ぬいぐるみの眼を爪で鳴らした
目隠しで柔軟剤をかがされて お花の香りと女はいった
星空が吐き出すみぞれに野良猫は 震える爪を丁寧に研ぐ
パーカーを過ぎる冷気の隠された 鍵を夜道に追いかけている
無視だけが抵抗であり 突風に曝されるシャツの袖の鋭く
偶数のおもちゃはきっと路線図が モノクロになる場所で生きてる
気付いたら秋が背後にあるように さらば、十八歳の蛞蝓
淡白な七日の連続 十代を失うまでのゆるい減速
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